Actor’s Watch #136
【ゴーストバスターズ♪】
ビル・マーレイの腕時計

映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第136弾の今回は、「ビル・マーレイの腕時計」をお送りします。

1975年に放送が開始され、現在でも全米で人気のコメディ番組として毎週土曜日の生放送が続けられている『サタデー・ナイト・ライブ(SNL)』。エディ・マーフィーやアダム・サンドラーなど、数多くのコメディ俳優を輩出した「登竜門」的な番組として知られる『SNL』の初期の人気を支えた出演者の一人が、こちらのビル・マーレイ。日本では『ゴーストバスターズ』(1984)のヴェンクマン博士役としてご記憶の方が多いのではないでしょうか。

*出典元:https://www.insider.com/

若い頃から事務所やエージェントを立てずに芸能活動を行なっており、ツテ無しでは連絡を取る事すらできないと言われているビル・マーレイ。「世界で最もオファーすることが難しい俳優」とも呼ばれながら、ウェス・アンダーソン監督作など、現在でも数々の名作・傑作の出演者としてのオファーが引きも切らない「クセ強」俳優として知られています。

今回は、そんなビル・マーレイが劇中で着用した腕時計に迫ってまいりたいと思います。

3人のゴースト

SCROOGED(1988)

*出典元:https://makeminecriterion.wordpress.com/

前社長の急死により、世界最大のテレビ局「IBC」の社長に最年少で就任したフランク(ビル・マーレイ)。マスコミには「やり手のテレビマン」として評価される一方、自分に意見する者は簡単にクビにし、ボーナスはロゴ入りタオルで済まそうとすることから、社内では傲慢でガメつい冷血社長として恐れられていた。

社長就任後の初めてのクリスマスが近づく中、フランクの前に前社長(ジョン・フォーサイス)の幽霊が現れ、数字の事しか頭にないフランクに「これからお前の元に3人のゴーストが現れる。日頃の行いを悔い改めないと大変なことになるぞ」と忠告を与える。そんな脅しには乗らないフランクだったが、かつての恋人クレア(カレン・アレン)と偶然再会し、ボランティアとして人の為に働く彼女から憐みの眼を向けられたことで自分の人生に疑問が生じてしまう。そしてクリスマス当日、フランクの元に「3人のゴースト」がやってくる、、、

*出典元:https://www.watchprosite.com/

ディケンズの名作小説『クリスマス・キャロル』を現代風にアレンジ。原作では守銭奴の高利貸しだった主人公を、傲慢で冷酷なテレビ局の社長に置き換え、心温まるヒューマンドラマに仕上げた『3人のゴースト』(1988)。本作の主人公、社長のフランクを演じたビル・マーレイが着用している腕時計は、オーデマピケ パーペチュアルカレンダー(Ref.5548もしくはRe.25548)です。

クォーツショックの影響下にあった1978年に、時代に逆らうようにリリースされた機械式パーペチュアルカレンダー搭載の雲上時計。オーデマピゲの機械式腕時計へのこだわりを感じさせる本機は、長者番付にも載るであろう大手テレビ局の社長が着ける腕時計として、実に相応しいチョイスと言えるでしょう。

ビル・マーレイは別の映画でもこの腕時計を着用しており、本人が所有する腕時計なのではないかと言われております。

ロスト・イン・トランスレーション

LOST IN TRANSLATION(2003)

*出典元:https://www.ecartelera.com/

CM撮影のために来日した落ち目のハリウッドスター、ボブ・ハリス(ビル・マーレイ)。25年連れ添った妻とはうまくいっておらず、CM撮影現場では通訳の問題で監督の要求に応えることができない。ストレスを抱えた彼は、同じホテルに泊まっているカメラマンの妻、シャーロット(スカーレット・ヨハンソン)と知り合う。歳の差はありながら、なぜか気が合った二人は、お互いが東京にいる短い間だけ行動を共にする。

慣れない土地での撮影に疲れ切ったハリウッド俳優と、多忙な夫に構ってもらえないカメラマンの妻。二人は、いつしかお互いの孤独を分かち合うようになっていた。

*出典元:https://www.swisswatchexpo.com/

慣れない異国の地で偶然出会った男女の「友達以上恋人未満」の関係を描き、2004年のアカデミー脚本賞をはじめ、欧米の主要な映画祭で数々の賞に輝いた大人のロマンス映画『ロスト・イン・トランスレーション』(2003)。来日したハリウッドスター役を演じるビル・マーレイは、本作の劇中でロレックス デイトジャスト(Ref.16234)を着用しています。

黒文字盤にジュビリーブレス、SS/WGというシンプルなデイトジャストが「渋めのオヤジ」の腕元をイヤミなく飾っています。

ライフ・アクアティック

THE LIFE AQUATIC WITH STEVE ZISSOU(2005)

*出典元:https://www.vox.com/

海洋ドキュメンタリー映画監督であり、海洋探検家でもあるスティーブ・ズィスー(ビル・マーレイ)。最近はヒット作にも恵まれず、ジャガーザメに襲われて長年の仕事仲間を失うなど、彼は失意の最中にあった。

そんな中、前妻の息子である青年ネッド(オーウェン・ウィルソン)と出会ったスティーブは、ネッドを仲間に誘い入れ、仲間を襲ったジャガーザメの追跡を開始するのだった。

*出典元:https://www.thewatchforum.co.uk/

ジャック・クストーをモデルにしたと思われる海洋映画監督の晩年を描く、ポップでカラフルな冒険映画『ライフ・アクアティック』(2005)。今に至るウェス・アンダーソン監督独自のスタイルが確立された作品として知られています。

本作の主人公、海洋冒険家にして映画監督のズィスーを演じたビル・マーレイが本作で着用している腕時計は、ボストーク アンフィビア(Ref.420380)。旧ソ連の「モスクワ第2時計工場」を元に創設され、旧ソ連国防省の軍事時計となった「ボストーク」。現代ではリトアニアの民間時計メーカーとして活動する同社の、廉価ながら200m防水を誇る機械式ダイバーズウォッチです。

文字盤中央に描かれたポップなダイバーのイラストが、ウェス・アンダーソンの世界観に絶妙にマッチしていると思いませんか?

まとめ

いかがでしたでしょうか。

若い頃から「クセ強」俳優だったビル・マーレイですが、その「クセの強さ」は72歳となった今も変わらず。厭味ったらしかったり、屈折してたり、そんな偏屈なジイさんを演じさせたら右に出る者はいない「クセ強おじいちゃん」俳優として確固たる地位を築いております。

*出典元:https://cinefiliaincandescente.com/

若い頃から敢えてエージェントを立てず、信用する映画作家の気に入った作品のみ厳選して出演していたことが映画俳優としての希少性を高め、出演作にバリューを持たせているビル・マーレイ。希少性が需要を生み需要が価値を生むのは、高級腕時計だけでなく、どこの業界でも同じ事と言えそうです。

その「信用する映画作家」のひとり、ウェス・アンダーソン監督の最新作『アステロイド・シティ』(2023)にも当たり前のように出演予定だったビル・マーレイですが、コロナ感染で降板となってしまったとの事。残念!

しかしビル・マーレイ出演作にハズレなし。次回作に期待しましょう。

ではまた!

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