『MASTER’Sコラム』景気変動後の時計売買はどうなる!?

初コラムとなる今回は、景気の変動が大きく起きた際の高級時計の価格推移を調べ、分かりやすくROLEXをベースに今後の売買を考察したい。

周知の事実だが、腕時計の市場が最近のように高額取引が増え、熟成してきたのは、約10年前からである。今、世の中の大半のROLEX所持者の方も、ここ10年以内の購入が多いだろう。この10年の時を経て、それまで“趣味”とされていた時計から、“実物資産の一部”としての時計へと、認識と立ち位置の変換があったかと予測される。

上記のように“実物資産の一部”へと変貌を遂げた高級時計。だからこそ、景気変動(世界情勢、株価、為替…)が起こるタイミングは要注意でもある。

現在、全世界にて脅威を振るっている新型コロナウイルス。去年の年末ごろの温度感と今とでは、計り知れないほどの差がある。大げさではなく 《 世界恐慌 》 という声も少なくない。このウイルスがもたらした騒動は、やはり時計業界にも大きな影響を及ぼすことは間違いない。

この不透明な先行きの中、果たして何を信じて“時計を売買すればいいのか?”

今コラムでは、一つでもその不安や疑問を解決できるよう、

【 過去の景気変動の際=リーマンショック=市場が熟成に至った直前の出来事 】

を、ROLEXを例に挙げ、高級時計の値動きを改めて振り返ってみる。

 

2008年リーマンショック

2008年9月アメリカの投資銀行であるリーマンブラザーズが経営破綻したことに端を発して、連鎖的に世界規模の金融危機が発生。

おそらく、ほとんどの方が直近で起きた一番の大きな景気変動といえば 【リーマンショック】 をあげるであろう。このショックを機に、アメリカが経済を立て直すために取った手段が“ドル安政策”であった。当然円高が起こり、並行品の価格も下落、需給バランスが崩れた。

*当時のROLEX主要モデル実勢価格表

上の図を見ての通り、ROLEXの主要スポーツモデルのほとんどが下落していることが分かる。

*図が12月時点の価格である為、少しずれはあるが下記が大枠の数字である。

【 DAYTONA(デイトナ)Ref.116520 】

リーマンショック前:約140万

リーマンショック後:約105万  *買取73万(黒) 63万(白)

【 SUBMARINER DATE(サブマリーナデイト)Ref.16610 】

リーマンショック前:約50万

リーマンショック後:約40万  *買取29万

【 GMT MASTERⅡ  Ref.16710 】

リーマンショック前:約60万

リーマンショック後:約52万  *買取—

【 EXPLORERⅡ(エクスプローラー2)Ref.16570 】

リーマンショック前:約48万

リーマンショック後:約41万  *買取23万(白黒共に)

今となっては定価もプレ値(*現行のデイトナの様なプレミアム価格)も高騰しており、馴染み無い数字だが、それでも動きは明確に読み取れる。また、買取価格も分かる範囲で載せてみたが、、、と思わず沈黙したくなる金額。今では考えられない値段である。

図に載せていないが、価格が非常に下がりづらいイメージの“エク1”でさえ

【 EXPLORERⅠ(エクスプローラー1)   Ref.114270 】

リーマンショック前:約38万

リーマンショック後:約32万

更に、強烈な値下がりを見せた“【 DEEP SEA(ディープシー) Ref.116660 】”に至っては、120万⇒79万約40万の33%ダウン当時買取46万と,かなりのインパクトであった。

ここから値段は徐々に上がっていき現在に至る。これがおおまかな価格推移と言えるだろう。

今後の予測・・・

さて、ここまで書きながら結局どうなるのか。

私の予想では

リーマンショックに順じた価格推移をたどる

リーマンショック時に発生した価格下落は、株の暴落や換金需要で実物資産とされる多くの物が売り出された事によるもの。不動産を筆頭に、高額なアート等、すべてが  “一応”  暴落した。

実はこの  “一応”  が肝である。

何故ならば、今回はリーマンショック時に比べ、時計市場はさらに高額帯に推移しており、購買層も資金的余裕と、このような事情を理解しているからである。つまり、危機だからと “投げ売り” が発生するかは不明なのである。

何が言いたいかというと、

需要が供給を上回っているもの=ヴィンテージに値するものや希少性の高いもの

は、所有者はこのタイミングではなかなか手放さないということ。

逆に言えば、そういったモデルは手放さない方が良い

更に言えば、そういったモデルは欠かさず手に入れる

投資分野の格言として

 ≪ 人の反対の売買をしないと投資はうまくいかない ≫

とも言われている。

誰もが 「暴落時に安く買って儲かったね」 と軽口を言うが、 「今」 はどんどん値段が下がっていきそうで、「早く売りたい」と資産を手放したくなるタイミングである。一方で、成功してる人はこのタイミングで良いものを「買う」。何度も言うが、 「今」 はどんどん値段が下がっていきそうという時に

実際、その状況に立つと本当に難しい判断である。だからこそ、

『 プロ(鑑定士) 』に相談すべき

である。その為に居るのだから。

百聞は一見に如かず

百見は一行に如かず

百行は一買に如かず、、、

私もこの逆境で手巻きデイトナを購入した。

実際にどうなるかは不安だが。

Text by Takuro Koda

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