Actor’s Watch #144
【ならず者部隊】
ディエゴ・ルナの腕時計

映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第144弾の今回は、「ディエゴ・ルナの腕時計」をお送りします。

映画のセットデザイナーだった父の影響により、幼い頃からショービジネスに興味を持ち始め、6歳で舞台デビューを果たすという早熟な芸歴を持つメキシコ人俳優、ディエゴ・ルナ。メキシコのTVドラマで演技を磨き、ハリウッドからも注目を集め始めた彼は、ほどなくしてスターウォーズシリーズのスピンオフ『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)の主役、キャシアン・アンドー役に抜擢されると、一躍、世界的な人気と知名度を獲得します。

*出典元:https://www.tiempox.com/

キャシアン・アンドーは『スターウォーズ』のサイドストーリーにおける主役級のキャラクターながら、単なるヒーローではなく、反乱軍の「ならず者部隊」に所属するアウトロー的な存在。彼を演じられるのは、ワイルドな風貌ながら、憂いを湛えた眼差しで深みのある演技を魅せるディエゴ・ルナだからこそと言えるでしょう。

今回は、そんな彼が劇中で着用した腕時計に迫ってまいりたいと思います。

ルド and クルシ

RUDO Y CURSI(2008)

*出典元:https://www.tomatazos.com/

メキシコのバナナ農園でお気楽に働いているベト(ディエゴ・ルナ)とタト(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、草サッカー大好き兄弟。ある日、地元の草サッカーチームの試合で活躍した二人はスカウトの目に留まり、PK対決に勝った弟のタトがプロチームに入団。天然キャラのストライカーとして人気選手になっていく。

一方、兄のベトも別のチームに入団すると、暴れん坊のゴールキーパーとして大活躍。一気にスター選手へと駆け上がっていく二人だが、兄は賭博と麻薬に、弟はセクシーな女性タレントにハマり、どちらの人生も雲行きが怪しくなっていく、、、

*出典元:https://www.tomatazos.com/

サッカー好き兄弟のちょっとホロ苦いシンデレラストーリーを描いたメキシコ映画『ルドandクルシ』(2008)。ディエゴ・ルナと、彼の幼馴染であるガエル・ガルシア・ベルナルが、農夫からセレブへと成り上がっていく能天気なメキシコ人兄弟を演じています。

本作でディエゴ・ルナが着用している腕時計は、一見するとカシオのデータバンクのよう。しかしボタンの色から判断するに、おそらく中国の電子機器メーカー「KENKO」の電卓ウォッチと思われます。安価な電卓メーカーとして知られるKENKOだけに、この腕時計も日本円で約1000~1500円程度の商品。裕福とはいえないであろうバナナ農場の従業員が着けられる、精一杯の腕時計というチョイスですね。

ナルコス : メキシコ編

NARCOS:MEXICO(2018-2020)

*出典元:https://www.gqindia.com/

1981年のメキシコ。麻薬シンジケート「グアダハラ・カルテル」は、メキシコ連邦警察出身のフェリクス(ディエゴ・ルナ)を指導者に据えると、多くの抗争を経て麻薬組織の統合に成功。フェリクスは腐敗した司法当局や政治家を取り込み、独占的にアメリカ市場にドラッグを送り込むことで、莫大な利益を上げることに成功する。

グアダハラ・カルテルの壊滅を図るアメリカ麻薬取締局(DEA)は、メキシコ系捜査官のキキ(マイケル・ペーニャ)を送り出すと、彼はフェリクスの所有するマリファナ畑を壊滅させるなど、大きな成果を上げる。しかし、その報復として彼はグアダハラ・カルテルに誘拐され、殺害されてしまう。この事件をきっかけに、DEAとアメリカ政府はグアダハラ・カルテルに対し、血で血を洗う報復攻撃を仕掛けていく、、、

*出典元:https://thekeystone.com/

メキシコの麻薬組織とアメリカ麻薬取締局(DEA)の戦いを描いた実録ドラマ『ナルコス:メキシコ編』(2018-2020)。ディエゴ・ルナは、1980年代にメキシコの巨大犯罪組織を率いた実在の麻薬王、ミゲル・アンヘル・フェリクス・ガヤルドを演じています。

彼が本作で着用しているのは、金無垢のロレックス デイトジャストと思われる腕時計。映画の舞台となる1980年代初頭のデイトジャストとしては少々大きく見えるので、デイトジャストに似せて作られた撮影用の小道具かもしれません。もしそうであったとしても、サイクロップレンズとジュビリーブレスを備えたこの腕時計は、金無垢のデイトジャストをイメージして作られたものと見て間違いは無いでしょう。

オフショット

主演を務めた『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)の公開以降、世界中のコミコン(オタクイベント)などに登場する機会が増えたディエゴ・ルナ。それによって、彼が普段着用している腕時計にも注目が集まり始めました。

下の写真は2018年頃のコミコンや新作映画のインタビューに登場したディエゴ・ルナの姿ですが、非常に特徴的な腕時計を着用していることがわかります。その腕時計とは、ジャガールクルト ポラリス デイト(Ref.Q9068670

*出典元:https://filmcombatsyndicate.com/

調べてみたところ、ディエゴ・ルナはジャガールクルトのアンバサダーではありませんが、公式アンバサダーを務める俳優、ベネディクト・カンバーバッチらと一緒に同社のイベントやレセプションに登壇しているようですので、この腕時計のチョイスには、ジャガールクルトによるスポンサードがあることはほぼ間違いないでしょう。

スポーティーな雰囲気とエレガンスさを兼ね備えたポラリスは、ヒゲを蓄えたワイルドな風貌ながら、優しく理知的な眼差しが印象的なディエゴ・ルナにはピッタリの腕時計ではないでしょうか。たとえスポンサードであったとしても、文句なしの組み合わせです。

*出典元:https://productplacementblog.com/

まとめ

いかがでしたでしょうか。

農園労働者から麻薬王まで。チープなデジタルウォッチからロレックスまで。両極端な役柄に合わせた、いかにも両極端な腕時計というラインアップとなりましたが、どちらであっても違和感なく演じ切り、着けこなせるのは流石ハリウッドスター。

*出典元:https://www.usatoday.com/

そんなディエゴ・ルナの最新作は、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の前日譚となるTVドラマ『キャシアン・アンドー』(2022~)。彼が演じる元盗賊のキャシアン・アンドーが、いかにして反乱同盟軍に加わり、銀河の歴史を大きく変えるキーパーソンとなっていくのか、その姿が丹念に描かれます。

本ドラマの主演はもちろん、製作総指揮にも名を連ねているディエゴ・ルナ。力の入れようが半端じゃないですね。シーズン1のヒットを受けて現在製作中のシーズン2は、2024年8月からの配信が予定されています。『キャシアン・アンドー』がエンディングを迎えるまで、彼がコンスタントに他の映画に出演することは難しいとは思いますが、いつか今よりもスター性を増した彼が、現代を舞台にした映画で素敵な腕時計を着けてくれる日を楽しみに待ちたいと思います。

ではまた!

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