Actor’s Watch #146
【真実の男】
チャック・ノリスの腕時計

映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第146弾の今回は、「チャック・ノリスの腕時計」をお送りします。

1960年代に空手の世界選手権でチャンピオンの座を6年保持し、ブルース・リーとも交友があった武術家、チャック・ノリス。『ドラゴンへの道』(1972)で監督・主演を務めたブルース・リーから敵役としてのオファーを受けた彼は、武術家から俳優への転身を決意します。そして、アクション指導やスタントからキャリアを積み上げ、やがて主演を務めたテキサスSWAT』(83)、『地獄のヒーロー』(84)など、多数のB級アクション映画で全米興収初登場1位を獲得。名実共に、80年代を代表する「金を稼げるアクションスター」となるのです。

*出典元:https://www.texasmonthly.com/

そんな彼も、1990年代にはアクション俳優としての人気に陰りが見え始め、TVの刑事ドラマなどへと活躍の場を移していきます。しかし、インターネット時代の幕開けとなる2000年代前半、あるきっかけで彼の人気が急上昇します。それは、映画の中での彼の異常な強さをネタにした、「チャック・ノリス・ファクト(チャック・ノリスの真実)」なるジョーク。これがネット上でブームとなり、若者への知名度を獲得。再びスターの座へと返り咲きました。そのジョークとは、、、

いわく

「チャック・ノリスは、腕立て伏せをするとき、身体を押し上げるのではなく、世界を押し下げる」

いわく

「チャック・ノリスはコブラに噛まれ、5日間もがき苦しんだ末…コブラが死んだ」

いわく

「チャック・ノリスは一輪車でウイリー走行ができる」

などなど、、、

本人もそんな「ファクト」がお気に入りのようで、最近は劇中のセリフでネタにすることもしばしば。今回は、そんなチャック・ノリスが劇中で着用した腕時計に迫ってまいりたいと思います。

ドッジボール

DODGEBALL: A TRUE UNDERDOG STORY(2004)

*出典元:https://www.empireonline.com/

30日以内に5万ドルを集めなければ、経営する弱小スポーツジム「アベレージ・ジョーズ」を失うことになるピーター(ヴィンス・ヴォーン)。彼はジムを立て直す為、ジムの仲間と共に、ドッジボールの全米大会で優勝し、賞金を手に入れようと考える。

猛特訓によって大会を勝ち抜いていくピーターたち。しかし「アベレージ・ジョーズ」を買収しようと企む大手ジム「グロボ・ジム」のオーナー、ホワイト(ベン・ステイラー)も、ピーターたちの優勝を阻止するためにチームを結成し、勝ち上がっていく。アクション・スターのチャック・ノリス(本人)がゲスト審査員として見守る中、いよいよピーターとホワイトが相まみえる決勝戦の火ぶたが切って落とされた、、、

*出典元:https://www.reddit.com/

オッサン同士の真剣なるドッジボール対決を描き、全世界で160億円もの興収を上げたスポ根コメディ『ドッジボール』(2004)。チャック・ノリスは、ストーリーとは関係のない「出オチ」の本人役でカメオ出演し、華麗にサムズアップを決めています。

ちなみにこの映画が公開されたのは「チャック・ノリス・ファクト」ブームが巻き起こる約1年前。この大ヒット作への出演で若者への知名度を向上させたことが、「チャック・ノリス・ファクト」ブームのきっかけになったのかもしれません。そんな本作で彼が着用している腕時計は、ナイキ トライアックス35(Ref.R0032-025 。ラップタイムを35個まで記録しておける、スポ根映画に相応しいアスリート用腕時計です。

エクスペンダブルズ 2

THE EXPENDABLES 2(2012)

*出典元:https://imdb.com/

バーニー・ロス(シルベスター・スタローン)率いる命知らずの傭兵軍団「エクスペンダブルズ」は、アルバニア山中に墜落した輸送機の積み荷の回収に向かう。墜落現場で同じ積み荷を狙う武装犯罪集団「サング」と一触即発の事態に陥ったエクスペンダブルズは、積み荷を奪われただけでなく、新人メンバーのビリーを殺されてしまう。積み荷の奪還とビリーの仇討ちの為、エクスペンダブルズはサングのリーダー、ジャン(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)を追う。

バーニーは、「一匹狼」と呼ばれる最強のベテラン傭兵、ブッカー(チャック・ノリス)にサング壊滅作戦への協力を依頼する。彼が首を縦に振ることはなかったが、エクスペンダブルズが危機に陥った時、ブッカーはどこからともなく現れ、彼らのピンチを救い、どこかへと去っていくのだった、、、

*出典元:https://imdb.com/

シルヴェスタ・スタローンアーノルド・シュワルツェネッガードルフ・ラングレンなど、80年代の筋肉スターが一堂に会する人気アクションシリーズの2作目、『エクスペンダブルズ2』(2012)。ジャン・クロード・ヴァンダム率いるテロ組織との戦いで、窮地に陥ったエクスペンダブルズを救うために現れる伝説の傭兵、ブッカー役として登場したチャック・ノリスは、「コブラに噛まれて5日間もがき苦しんだ末、コブラが死んだ」のくだりを劇中で披露しています。

彼が本作で着用している腕時計は、タイメックス アイアンマン(Ref.T5E261)。「スポーツウォッチ」の先駆けとして1986年に初代モデルが誕生したアイアンマンは、その名の通り、トライアスロンでの使用を想定して開発された、強靭な腕時計として知られています。アイアンマンが発売された年と、チャック・ノリスがスター俳優として活躍した時期はほぼ同じ。この腕時計が、彼の「1980年代を象徴する伝説のタフガイ」のアイコンとして選ばれたことは間違いないでしょう。

デルタ・フォース

THE DELTA FORCE(1986)

*出典元:https://imdb.com/

アテネ空港を離陸した旅客機、282便がテロリストにハイジャックされる。事態を知ったホワイトハウスは、歴戦の軍人であるアレクサンダー大佐(リー・マーヴィン)を呼び、人質救出を専門とする対テロ部隊「デルタフォース」の招集と出動を命じる。

旅客機の乗客だけでなく、中東のテロ組織のアジトにも人質が囚われている事を知ったアレクサンダー大佐は、部下のマッコイ少佐(チャック・ノリス)に、アジト急襲と人質の救出を指示する。マシンガンとミサイルを搭載したスーパーバイクでアジトを壊滅させ、人質を救ったマッコイ少佐は、282便奪還の為、休む間もなくベイルートの空港へと向かう。

*出典元:https://www.reddit.com/

アカデミー賞、トニー賞、エミー賞などを受賞した数々の名優を起用して製作された、オールスター総出演のアクション映画『デルタ・フォース』(1986)。本作では、チャック・ノリスではなく、彼の上司となるアレクサンダー大佐を演じたオスカー俳優、リー・マヴィンが着用していた腕時計が実に興味深いモデルだったので、そちらを紹介させていただきます。この機会を逃したら、二度と紹介するタイミングは訪れないと思いますので、、、

この、いかにもミリタリーウォッチらしい雰囲気を湛えた腕時計は、1980年代前半に製造された、ホイヤー クロノグラフ(Ref.510.502。ムーブメントには、オメガ スピードマスターにもベースとして採用されたことのあるミリタリー・クロノグラフの名機、レマニア5100が搭載されています。時間経過を直感的に視認できるよう、60分積算系がセンター同軸に設計されているのが、このムーブメントの最大の特徴。老練な特殊部隊のリーダーには、実に相応しい腕時計と言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

チャック・ノリスの主演映画の中には、こ洒落たドレスウォッチなど一本も存在せず、そこにあるのは、ただひたすら強く、頑丈で、銃で撃たれてもビクともしない(ような気がする)腕時計ばかり。彼に必要なのは、自分に相応しい「強靭な腕時計」と28歳年下の愛妻、ジーナ・ノリスだけなのです。それ以上、彼に何も必要ではないのです。それがチャック・ノリスなのです。たぶん。

*出典元:https://kultura.gazeta.pl/

それでは最後に、腕時計に関する「チャック・ノリス・ファクト」をひとつご紹介して、本稿の締めといたしましょう。

「チャック・ノリスは腕時計をしない。彼が今、何時何分かを決めるのだ」

ではまた!

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