コミットTV 八木コラム ~《今さら聞けないシリーズ Vol.14》【高級時計入門編】『永久カレンダー』って何!?パーペチュアルカレンダーの特徴と年次カレンダーとの違いを解説~

みなさま、こんばんは!

今週も新連載の今さら聞けないシリーズをお届けしていきたいと思います。この新企画では、高級腕時計にあまり詳しくない方、これから勉強していきたい方へ向けて「今さら聞けないよ!」といった、高級腕時計の基本的な事をわかりやすくお伝えしていきます。

第14回目となる今回は

高級腕時計入門編】:永久カレンダー

『永久カレンダー』は、別名『パーペチュアルカレンダー』と呼ばれる複雑機構です。数ある機構の中で”三大複雑機構”とも言われるほど、製作には高度な技術が必要とされます。それゆえ取り扱うブランドは超一流であり、価格も一千万円を超えることも。今回はそんな『永久カレンダー』の特徴や、『年次カレンダー』(アニュアルカレンダー)との違いを解説します。

『永久カレンダー』とは?

永久カレンダー』=『パーペチュアルカレンダー

『永久カレンダー』とは、機械式時計に必要な日付調整の手間を、”全て”自動で行なってくれる機構のことです。通常の時計では、30日までしかない月には手動でカレンダーの修正をしなくてはいけません。しかし『永久カレンダー』はこういった調整はもちろん、4年に1度のうるう年の調整をも行なってくれます。文章にすると簡単に思えますが、機械式ムーブメントでこれを作り上げるのは非常に高度な技術が必要になります。

ちなみに、「永久」の名の通り、永久に調整の必要がないと思われますが、実際はほとんどの現行モデルが2100年の228日に調整が必要になると言われています。

『永久カレンダー』の歴史

『永久カレンダー』を生み出したのは、天才時計師として知られるアブラアン・ルイ・ブレゲであり、1795年に『永久カレンダー』の原型を考案したとされています。その後、1889年に【パテックフィリップ】が『永久カレンダー』機構の特許を取得し、1985年には【IWC】が「ダ・ヴィンチ」で、『永久カレンダー』機構に加え、4桁の西暦表示を新たに搭載し、当時大きな話題となりました。

三大複雑機構の一つ

『永久カレンダー』は、その機構の複雑さから”三大複雑機構”と呼ばれています。その他の”三大複雑機構”には『ミニッツリピーター』と『トゥールビヨン』があり、『ミニッツリピーター』はゴングを鳴らして時刻を教えてくれる機能で、暗闇で時刻を確認できない時代に開発されました。

『トゥールビヨン』は、時計の向きやポジションなど、姿勢差による精度のぶれを一定にするための機構です。時計の精度を司る部品を特殊なカゴに収めて回転させることで、重力を平均化し、精度を高めています。

『年次カレンダー』(アニュアルカレンダー)との違い

 

『永久カレンダー』に似た機構に、前回お話しした『年次カレンダー』があります。

『永久カレンダー』が100年に1度の調整のみで済むのに対し、『年次カレンダー』は1年に1度調整する必要があります。1996年に【パテックフィリップ】が開発した『年次カレンダー』は、非常に高度な『永久カレンダー』より手が届きやすい機構として誕生し、現在では多くのブランドでラインアップされています。

『永久カレンダー』の代表的なモデル

ここからは、『永久カレンダー』の代表的なモデルを紹介します。

【パテックフィリップ】
『パーペチュアルカレンダー』
「Ref.5327G-001」

『永久カレンダー』の傑作として名高い「Ref.3940」の流れを汲んだこちらは、『カラトラバ』のケースやブレゲ数字など、昔ながらのデザインを盛り込みモダンに仕上げた1本です。搭載ムーブメントは「Cal.240Q」。部品総数275個で構成され、わずか3.88mmという薄型設計になっています。彫刻や仕上げもすべて手作業で行なわれており、ムーブメントだけで見ても芸術的な美しさがあります。

【オーデマピゲ】
『ロイヤルオーク パーペチュアルカレンダー』
「Ref.26574ST.OO.1220ST.02」

1875年、【オーデマピゲ】は初めて『永久カレンダー』を製作しました。それから140年が経ち、満を持して2015年に発表されたのが、こちらの『ロイヤルオーク パーペチュアルカレンダー』です。【オーデマピゲ】の代表作とも言える『ロイヤルオーク エクストラシン』に、『永久カレンダー』が搭載された最上級の逸品は、ブルーのグランドタペストリーダイヤルに、バランスよく『永久カレンダー』と「ムーンフェイズ」が配置されており、デザイン性にも優れた仕上がりとなっています。

【ブレゲ】
『クラシック パーペチュアルカレンダー』
「Ref.5327BR/1E/9V6」

世界五大時計と称される【ブレゲ】の技術の粋が凝縮された『クラシック パーペチュアルカレンダー』。伝統と芸術を掛け合わせた傑作で、手彫りのエンボス加工が施された文字盤には、『パーペチュアルカレンダー』『ムーンフェイズ』『パワーリザーブインジケーター』『デイデイト』『月』『閏年表示』を備えた、超複雑機構モデルです。

まとめ

『永久カレンダー』の特徴や『年次カレンダー』との違いについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

『永久カレンダー』は、世界中の時計師たちの技術の粋が凝縮され、脈々と受け継がれてきた歴史ある機構であることがお判りいただけたかと思います。ブランドによって、その表示やデザインの仕方は違っているため、皆さんもご自身の好みにあった時計を探してみてください。

今回も、この記事を見ていただいたことで高級腕時計に興味を持っていただければ幸いです!

ではまた!

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