Actor’s Watch #114
【岐路に立つ男】
オスカー・アイザックの腕時計

映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第114弾の今回は、「オスカー・アイザックの腕時計」をお送りします。

*出典元:https://www.looper.com/

スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)に登場する主要人物のひとり、反乱軍の腕利きパイロット、ポー・ダメロンを演じ有名俳優の仲間入りを果たしたオスカー・アイザック。

それまでは『エンジェルウォーズ』(2011)や『ドライヴ』(2011)、『エクス・マキナ』(2015)など、マニアックな単館系映画で強い個性を発揮していた彼が『スター・ウォーズ』という超大作のメインキャストに起用されたことには、私もその当時、非常に驚かされたことを憶えています。

今回はそんな意外性の男、オスカー・アイザック着用した腕時計に注目して参ります。

アメリカン・ドリーマー 理想の代償

A MOST VIOLENT YEAR(2014)

*出典元:https://www.rickchung.com/

世界有数の犯罪都市だった1981年のニューヨーク。石油会社を興したアベル(オスカー・アイザック)は、不正や暴力が支配するオイル業界の中でクリーンなビジネスを貫き、順調に業績を伸ばしつつあった。

事業拡大の為、全財産をはたいて石油ターミナルを建設するための土地を購入したアベルだが、ライバル企業と繋がるマフィアからの脅迫や、所有するタンクローリーへの度重なる襲撃に悩まされ始める。やがて、身の危険に耐えられなくなったタンクローリーの運転手が拳銃を発砲する事件が発生。それをきっかけに警察に目を付けられたアベルは、銀行からの融資も暗礁に乗り上げ、マフィアに頼らざるを得なくなっていく、、、

*出典元:https://www.icollector.com/

ニューヨーク史上、最も多くの犯罪が発生した1981年を舞台に、アメリカンドリームを夢見て石油会社を立ち上げた移民アベルの成功と苦悩を描いた『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』(2014)。本作で「クリーンなオイルビジネス」という理想を追求しようとするアベルを演じたオスカー・アイザックは、ロレックス デイデイト(Ref.1803/8)と思われる金無垢の腕時計を着用しています。

アメリカンドリームを掴んだ男ではなく「掴みかけている男」の腕にデイデイト。これは「今から成ろうとしている理想の自分」を表現する為の腕時計と言っていいでしょう。しかし「理想のビジネス」と「厳しい現実」の狭間で苦悩する男が着けていることで、この腕時計が「理想を追い続けることの難しさ」をより強調しているようにも思えます。

トリプル・フロンティア

TRIPLE FRONTIER(2019)

*出典元:https://variety.com/

民間軍事会社に所属するガルシア(オスカー・アイザック)は、コロンビア警察からの要請で麻薬王ロレアの行方を追っていた。内通者からの情報で、ロレアの潜伏先に大金が隠されていることを知ったガルシアは、特殊部隊に所属していた頃の仲間を集め、その大金を奪うことを計画する。

大金に釣られて集まった元特殊部隊員のトム(ベン・アフレック)やウィリアム(チャーリー・ハナム)と共にロレア邸を襲撃したガルシアたち。計画は見事に成功したものの、麻薬組織の猛追は激しく、彼らはやがて、金を取るか命を取るかの岐路に立たされていく、、、

*出典元:https://cdn.justjared.com/

ブラジル、アルゼンチン、パラグアイの三国が隣接する国境線エリアを舞台に、麻薬組織が隠し持つ大金を狙う傭兵たちを描いた犯罪アクション映画『トリプル・フロンティア』(2019)。傭兵稼業に嫌気が差し、奪った大金で新しい人生を始めようと考える男、ガルシアを演じたオスカー・アイザックが本作で身に着けているのは、スント コア オールブラック(Ref.SS014279010と思われる多機能デジタルウォッチです。

平原や荒野を舞台に縦横無尽なアクションシーンが展開する本作。スント コアのような電子コンパス搭載の腕時計は必須アイテムと言えるでしょう。

カード・カウンター

THE CARD COUNTER(2021)

*出典元:https://m.imdb.com/

捕虜虐待の罪で有罪判決を受け、8年の服役を終えた元兵士のウィリアム(オスカー・アイザック)。刑務所で賭けトランプのテクニックを憶えたウィリアムは、出所後、目にしたカードの数字を全て記憶する「カードカウンティング」という禁じ手を武器に、カジノを転々とする暮らしを続けていた。

やがて彼のもとに、ギャンブルの腕前を見込んだ謎の女リンダ( ティファニー・ハディッシュ )が現れ、ポーカー世界大会参戦への資金援助を申し出る。しかし彼は、自分が罪を重ねる原因を作った元上官、ゴード大佐(ウィレム・デフォー)への復讐心も捨てきれずにいた。「カード界での成功」と「復讐」の間で、彼の心は揺れ動く、、、

*出典元:https://timeandtidewatches.com/

過去に犯した罪に囚われ、カードの腕前だけを頼りに孤独に生きてきたギャンブラーが人生の岐路に立つ姿を描いた『カード・カウンター』(2021)。マーティン・スコセッシ(製作総指揮)とポール・シュレイダー(監督・脚本)という名コンビが、『タクシードライバー』(1976)のトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)に続く、新たなアンチヒーローを生み出しました。

眼光鋭くカードを視線で射貫くギャンブラー、ウィリアムを演じたオスカー・アイザックは、本作でピアジェ ポロ S(Ref.G0A41003)を着用しています。激情を秘めた復讐者であり、冷静沈着なカードプレイヤーでもあるという二面性を持つウィリアム。激しくも優雅な乗馬球技「ポロ」に由来するこの腕時計が、強さと知性の二面性をうまく表現しているのではないかと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

クリーンなビジネスか、マフィア頼みか」「大金か、命か」「ギャンブラーとしての成功か、復讐か」。今回ご紹介した映画の中では、なぜか必ず人生の岐路に立たされた男を演じているオスカー・アイザック。

その卓越した演技力は勿論、南米グアテマラ出身のラテン系ながら、憂いを帯びた目元の表情が、いかにも「苦悩する男」「思慮深い男」という雰囲気を漂わせているのかもしれません。

*出典元:https://www.cheatsheet.com/

腕時計もまた「人物の理想となるもの」を表現しながら、「理想通りにいかない苦悩」を強調するアイテムとして、映画の中で効力を発揮しているように見受けられます。

今回のリサーチでは、映画に登場する腕時計が「登場人物を表現する小道具」でありながら、同時に「登場人物が手に入れられないものを表現する小道具」でもあるという、奥深い使われ方を知ったような気がします。

「映画と腕時計」の関係性には、まだまだ新たな発見がありそうですね。

ではまた!

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