Actor’s Watch #149
【主演作にハズレなし】
トム・ハンクスの腕時計

映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第149弾の今回は、「トム・ハンクスの腕時計」をお送りします。

俳優として『フィラデルフィア』(1993)、『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)で2年連続となるアカデミー主演男優賞を受賞し、CGアニメ『トイ・ストーリー』(1995)では主人公ウッディ役を演じ、声優としても大ヒット作の主役を務めるトム・ハンクス

*出典元:https://kritikustomeg.org/

スティーブン・スピルバーグ監督やロバート・ゼメキス監督など、ハリウッドを代表する巨匠たちからの信頼も厚く、映画ファンからは「彼が主演する映画にハズレなし」と言われる稀代のヒットメーカーぶりは、皆様もご存知の事でしょう。

今回は、そんなトム・ハンクスが劇中で着用した腕時計に迫ってまいりたいと思います。

アポロ13

APOLLO 13(1995)

*出典元:https://www.premiere.fr/

1970年、月面を目指すアポロ13号は、宇宙空間で酸素タンクの爆発事故に見舞われる。月面着陸はおろか、計画を中止しての帰還すら絶望的と思われたアポロ13号。船内のジム・ラヴェル(トム・ハンクス)、フレット・ヘイズ(ビル・パクストン)、ジャック・スワイガート(ケヴィン・ベーコン)の3人の宇宙飛行士は、極寒と脱水状態により体調の維持すら困難となっていく。

そんな中、管制センターの主席管制官ジーン・クランツ(エド・ハリス)は、乗組員たちから状況を聞き取りながら、次々と襲い掛かるトラブルに的確に対応していく。皆が一丸となり致命的な危機は脱したかに思われた。しかし、宇宙船が地球に戻るための軌道から外れていることが判明。このままでは生還の望みが完全に絶たれてしまう乗組員たちは、自動操縦装置もコンピューターも使えない中、ある原始的な方法で軌道修正を行なう賭けに出る。

*出典元:https://www.gq-magazine.co.uk/

致命的な障害が起きたものの、トラブルへの的確な対処で乗組員全員が生還し、「成功した失敗」「危機管理のお手本」と言われたアポロ13号の爆発事故。その一件を描いたアポロ13』(1995)では、冷静さを失わず、地球への帰還を信じて困難を乗り越えたアポロ13号の船長、ジム・ラヴェルトム・ハンクスが演じています。

本作で彼が着用している腕時計は、オメガ スピードマスター(Ref.105.012)。『スピードマスター』と言えば、本作では物語の鍵を握る「14秒」の計測に使用されるシーンがありますが、そちらは操縦士のスワイガード(ケヴィン・ベーコン)が着用していたもの。トム・ハンクスの『スピードマスター』は、どちらかというと地上での着用シーンが目立っておりました。

キャプテン・フィリップス

CAPTAIN PHILLIPS(2013)

*出典元:https://www.usatoday.com/

リチャード・フィリップス船長(トム・ハンクス)が舵を取るコンテナ船「アラバマ号」は、20人の乗組員を乗せ、海賊行為が頻発するアフリカ近海のソマリア沖を運航していた。警戒し、策は講じていたものの、度重なる襲撃により、いずれ海賊たちの侵入は避けられないと悟ったフィリップスは、乗組員たちを守る為、彼らを機関室に匿い、自ら海賊の人質となる。

囚われの身となりながら、襲撃を止めるよう粘り強く海賊と交渉を重ねるフィリップス。そんな中、機関室に隠れていた乗組員たちも、海賊たちへの反撃を開始するタイミングを窺っていた、、、

*出典元:https://www.watch-id.com/

2009年に実際に起きた海難事件「マークス・アラバマ号乗っ取り事件」。的確な判断力と自己犠牲心で乗組員に一人の死者も出さなかったフィリップス船長の活躍を、『ジェイソン・ボーン』(2016)などのアクション映画で知られるポール・グリーングラス監督が、実録映画に仕上げました。

本作でフィリップス船長を演じたトム・ハンクスが着用している腕時計は、カシオ G-SHOCK (Ref.DW6900)。船乗りのG-SHOCKであれば、方位計と気圧計が付いた「レンジマン」が最適なのですが、残念ながら事件当時の2009年には未発売(2013年発売)。時代背景を正しく反映しての選択といったところでしょう。

アステロイド・シティ

ASTEROID CITY(2023)

*出典元:https://www.thehindu.com/

妻を亡くした写真家のオーギー(ジェイソン・シュワルツマン)は、幼い3人の娘を車に乗せ、妻の父であるスタンリー(トム・ハンクス)の家に向かっていた。道中、エンストで足止めされた彼らが滞在することになったのは、隕石落下による巨大クレーターが観光名所の田舎町、アステロイド・シティ。ちょうどその時、町は天才少年&少女たちを表彰する科学賞授賞式の準備の真っ最中だった。

夜になり、満天の星空の下で授賞式が始まったが、セレモニーの最中にUFOが出現する。皆が唖然としている中、ハシゴで降りてきた宇宙人。オーギーはカメラのシャッターを切るが、宇宙人は展示されていた隕石のレプリカを手に取ると、それを持ってUFOで飛び去っていった。そして翌朝、町は軍隊によって封鎖されてしまう。

*出典元:https://www.reddit.com/

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)、『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)など、シュールで作り物めいた世界が舞台の群像劇で知られるウェス・アンダーソン監督の最新作『アステロイド・シティ』(2023)。本作で、トム・ハンクスは母親の死が十分に理解できていない3人の孫娘に翻弄されるお祖父ちゃん役を演じています。

そんな彼が劇中で着用している腕時計は、ロードエルジン ジャンピングアワー(Ref.-)。その形状から「鉄仮面」の愛称で親しまれている、1950年代のヴィンテージウォッチです。シルエットだけ見ればどこにでもある腕時計の形なのに、全体を見れば、似たものの無い個性的な一本。いかにもウェス・アンダーソン監督が好きそうなデザインです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

柔和な童顔を活かした「いい人」を演じる事の多いトム・ハンクスだけに、浮ついたところのない、庶民的で実用的な腕時計のラインアップとなりました。その中でも『アステロイド・シティ』で着用したジャンピングアワー「鉄仮面」は、映画&監督の世界観にピッタリとハマった、「映画に登場した腕時計」界における会心の一本ではないかと個人的には思っております。

*出典元:https://people.com/

昨年公開された『オットーという男』(2022)では、主人公オットーの老年期をトム・ハンクス、青年期を実の息子であるトゥルーマン・ハンクスが演じるという「親子で二人一役」が話題となりました。これでもう、いつでも「二代目トム・ハンクス」への代替わりはOKということでしょう(たぶん違う)。

近年は『ピノキオ』(2022)のゼペット爺さんや、『アステロイド・シティ』(2023)の孫娘に母親が亡くなったことを伝えようとする祖父など、人のいい老人役を演じる事が増えたトム・ハンクス。まだまだこれからも、実直な腕時計選びで「気さくなおじいちゃん」を演じてくれることでしょう。息子の「二代目トム・ハンクス」襲名はまだまだ先になりそうです。

ではまた!

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