6代目ジェームズ・ボンド ダニエル・クレイグの腕時計【前編】 ~Actor’s Watch #32~

映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第32弾の今回は、コロナ禍により延期となっていた『007 ノータイム・トゥ・ダイ』の公開日決定を記念し、6代目ジェームズ・ボンドダニエル・クレイグが着用した時計に注目してまいります。

*出典元:https://forbesalert.com/

2006年公開の『007 カジノ・ロワイヤル』を皮切りに、15年もの長きに渡りジェームズ・ボンド役を務めたダニエル・クレイグですが、2021年10月1日公開予定の最新作『007 ノータイム・トゥ・ダイ』を最後にボンド役を引退。彼が演じるジェームズ・ボンドは今作が見納めとなります。当コラムでは、長年のボンド役への労いの気持ちを込め、ダニエル・クレイグが映画で着用した時計を2週に渡ってご紹介していきたいと思います。

*出典元:https://www.hollywoodinsider.com/

前編の今回は、ダニエル・クレイグが007シリーズ以外の作品で着用した腕時計をご紹介し、次回の後編では、彼が007シリーズで着用した時計をピックアップする予定ですので、ぜひともお楽しみに!

トゥームレイダー

LALA CROFT: TOMB RAIDER(2001)

1997年に発売されたゲームを映画化したアドベンチャーアクション大作『トゥームレイダー』。美人トレジャーハンターのララ・クロフト(アンジェリーナ・ジョリー)と、悪の秘密結社イルミナティの「時空を支配する財宝」をめぐる戦いが描かれます。

*出典元:https://lebeauleblog.com/

この映画のダニエル・クレイグは、ララ・クロフトのトレジャーハンター仲間という役どころ。ヒロインのララ・クロフトを演じるアンジェリーナ・ジョリーを魅せるための映画、という位置づけの作品のため、大した活躍はいたしません(笑)。しかし、見事にビルドアップされた肉体美は、さすが未来のジェームズ・ボンド。その片鱗が確認できます。

*出典元:http://hot-daniel-craig.blogspot.com/

この映画でダニエル・クレイグが身に着けているのは、ブライトリング クロノマット。イタリア空軍のアクロバット飛行チーム、フレッチェ・トリコローリの公式時計として開発された、新世代のパイロット用クロノグラフです。高い堅牢性を感じさせるソリッドなベゼルと、操作性を高めるライダータブの男らしいルックスが、彼の鍛え上げられた肉体によくマッチしていると思います。

レイヤー・ケーキ

LAYER CAKE(2004)

引退前の最後の仕事として「大量の違法薬物の処分」「大物マフィアの娘の捜索」を依頼された、名無しの麻薬ディーラー。どちらも簡単に事が運ぶはずだったが、そこは欲望が渦巻く裏社会。トラブルに巻き込まれ、挙句の果ては犯罪組織の殺し屋にまで狙われるハメに。はたして彼はこの仕事をやり遂げ、無事に足を洗うことができるのか…?ハリウッド映画とは一味違う、いかにもイギリス映画らしい、スタイリッシュ感あふれるクセ者揃いのクライムサスペンス映画『レイヤー・ケーキ』。

*出典元:https://thecinemaholic.com/

本作は『キングスマン』シリーズで有名なマシュー・ヴォーン監督のデビュー作であり、また、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンド役に抜擢されるきっかけとなった出世作でもあります。この作品がなければ『キングスマン』も、ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドも存在しなかったかもしれないと考えると、スパイ映画の歴史にとって非常に重要な作品であるといえるでしょう。

*出典元:https://www.gq-magazine.co.uk/

数々の敵や罠をかいくぐり裏社会で成功を収めてきた切れ者、ダニエル・クレイグ演じる麻薬ディーラーの腕に着けられているのはロレックス デイトジャスト。彼が表向きは不動産業を装っているという設定に基づくチョイスでしょうか。投資家や不動産関係者が、顧客からの信用獲得のためにデイトジャストデイデイトを愛用するのは、洋の東西を問わないようです。

ドラゴン・タトゥーの女

THE GIRL WITH THE DRAGON TATOO(2011)

汚職事件を告発しながらも名誉棄損の罪に問われ、賠償金の支払いで全財産を失いかけている雑誌記者ミカエル(ダニエル・クレイグ)。追い詰められた彼に、汚職事件の決定的証拠と引き換えに、40年前の少女行方不明事件の調査が依頼される。精神にトラウマを抱える女ハッカー”リスベット”を相棒に、消えた少女の行方を追うミカエルは、やがて未解決の猟奇連続殺人との関係にたどり着いていく…。

*出典元:https://www.netflix.com/

『セブン』『ファイトクラブ』デヴィッド・フィンチャー監督による、世界的ベストセラーミステリー小説の映画化作品『ドラゴン・タトゥーの女』。フィンチャー監督らしい、緊迫感溢れるダークなサスペンス映画に仕上げられています。特に、ルーニー・マーラ演じる、全身にピアスとタトゥーを入れたスーパーハッカー”リスベット”の危うい存在感は、それまでの映画には無かった新しいダークヒロイン像を創り出しています(タイトルの「ドラゴン・タトゥーの女」というのは彼女のこと)。

*出典元:https://bamfstyle.com/

この映画では、イケオジながら少し頼りないベテラン記者、ミカエルを演じたダニエル・クレイグ。劇中ではオメガ シーマスター アクアテラを着用しています。
オメガのアンバサダーを務めるダニエル・クレイグらしい、シンプル大人びた時計のチョイスと言えるでしょう。

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密

KNIVES OUT(2019)

人気ミステリー作家の変死事件。作家の家族たちはみな何かしら問題を抱えており、誰が犯人でもおかしくないようなありさまだが、警察は自殺と判断する。しかし、匿名の人物から依頼を受け、そこに現れた探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)が、事件の真相へと迫っていく、、、。

*出典元:https://www.denofgeek.com/

監督が「アガサ・クリスティのようなミステリーを目指した」と語る、正統派の「名探偵もの」のサスペンスミステリー映画『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』。『キャプテン・アメリカ』のクリス・エヴァンス、『ハロウィン』のジェミー・リー・カーティス、『マイアミ・バイス』のドン・ジョンソンなど、錚々たるキャストが勢揃いし、まるで『オリエント急行殺人事件』のような華やかさです。紳士的かと思えば胡散臭く、胡散臭いと思えば紳士的にふるまう、少しテンションがおかしい名探偵ブノワ・ブランを、ジェームズ・ボンドとは全く異なる雰囲気で、ダニエル・クレイグが楽しそうに演じています。

*出典元:https://www.reddit.com/

この映画で探偵ブノワ・ブランが身に着けているのは、ヴィンテージオメガ シーマスター。ラグの細い60年代のデ・ヴィルのように見えます。トラッドなヘリンボーンのコートに、これまたトラッドな革ベルトのヴィンテージオメガが「クセのある紳士」感を演出しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
ジェームズ・ボンドを演じる前、2000年代前半は、後のボンド役に繋がるような、肉体的でスタイリッシュな役柄を演じてきたダニエル・クレイグ。しかし、ボンド役を射止めてからは、むしろボンドのイメージを払拭するかのように、少し頼りなかったり、ひとクセある個性的な役柄を演じることが多くなっているように感じます。特に『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』の探偵、ブノワ・ブラン役はお気に入りのようで、続編への出演も決定し、現在撮影中とのこと。公開が楽しみです。

*出典元:https://in.mashable.com/

ジェームズ・ボンドのような人気キャラクターを演じるということは、そのキャラクターのイメージが付きまとい、他の役が演じにくくなるという事でもあります。そこで、あえて真逆のキャラクターを演じ、イメージを変えていくことで、ジェームズ・ボンドのイメージに囚われることなく、多種多様な役を演じることができる。ダニエル・クレイグの演じる役には、そういう狙いが見て取れます。ジェームズ・ボンドが着けないであろう、ヴィンテージのオメガを選ぶというのも、キャラクターのイメージに囚われないための、ひとつの手段なのかもしれません。ボンド役を卒業したダニエル・クレイグが今後どのような役を演じていくのか、楽しみにしたいと思います。

次回はいよいよ「ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドの腕時計」をお送りいたしますので、ぜひともお楽しみに!
ではまた!

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