スティーブ・マックィーンのモナコ&サブマリーナー ~Actor’s Watch #3~


*出典元:https://100mcqueen.com/

映画やテレビなどで俳優が着用した時計にフォーカスする「Actor’s Watch」。
第3弾のテーマは、当店のyoutubeチャンネル「COMMIT TV」にてリクエストのコメントをいただきました、スティーブ・マックイーンの話題でお送りいたします。
コメントをいただいた”ブルースマックィーン様”、リクエストありがとうございます!

反骨精神に溢れ、自らの強い信念に則って行動する「男の中の男」といった役回りがこれほど似合う俳優は、スティーブ・マックィーンをおいて他にいないでしょう。

1960~70年代にかけて、ハリウッドは勿論、日本を含む全世界で人気を博したスーパースターであり、50歳の若さで癌に侵され、1980年に惜しまれつつこの世を去った名優、「キング・オブ・クール」こと、スティーブ・マックィーンの腕元に注目して参りましょう。

異色のレース映画『栄光のル・マン』

マックィーン自ら率いるプロダクションが制作にあたった1971年のカーレース映画『栄光のル・マン』は、人間ドラマやラブロマンスではなく「カーレースそのもの」を描くことを望んだマックィーンの意向により、実際のレースの映像を随所に用いたり、演出や俳優の演技を最小限に抑えることで、リアリティと臨場感に溢れる、異色のセミ・ドキュメンタリー映画に仕上げられています。

*出典元:https://petrolicious.com/

マックィーン演じる、事故から復帰したばかりのレーシングドライバーが操るのは、ブルーとオレンジの「ガルフ・オイル」カラーが目にも鮮やかなポルシェ917K。ル・マン24時間耐久レースを舞台に、ポルシェVSフェラーリの激闘が描かれます。

その劇中で過酷なドライビングを続けるマックィーンの右手首に着けられていたのは、こちらも色鮮やかなブルー文字盤とスクエアケースが特徴的な、タグホイヤー(1971年当時はホイヤー)の「モナコ クロノグラフ」でした。

*出典元:https://www.tagheuer.com/jp/ja/partnerships/heritage.html

『栄光のル・マン』のモナコ クロノグラフ

『栄光のル・マン』公開の2年前、1969年にタグホイヤー、ブライトリング、ハミルトン、デュボアデプラの4社連合により、世界初の自動巻きクロノグラフムーブメントが開発され、「クロマティック(キャリバー11)」と名付けられました。

そのキャリバー11を搭載した世界初の自動巻きクロノグラフであり、かつ世界初の「角型防水ケース」の時計としてタグホイヤーが発表したのが、モナコ クロノグラフ(Ref.1133)でした。

*出典元:https://rare-watch.net/info-watch-auction-of-phillips-2020-01/

『栄光のル・マン』において、マックィーンは右手首にモナコを着けていますが、これは、カーレーサーにとって時計は、常にハンドルを握り続ける左手首よりも、右手首に着けた方が時間を確認しやすいからといわれています(マックィーンはもともと左利きでもありますが)。

*出典元:https://www.timeandwatches.com/2020/10/heuer-monaco-worn-by-steve-mcqueen-for.html

モナコのファーストモデルは、搭載するキャリバー11の構造から左リューズ仕様となっており、マックィーンは「カーレーサーが右手首に着ける腕時計」としてのリアリティを左リューズのモナコに見出したのかもしれません。

「ホイヤー」から「タグホイヤー」へと社名が変わった現代においても、モナコはタグホイヤーの主要コレクションのひとつとして、メーカーを代表するアイコンの役割を担い続けており、マックィーンの名を冠するモデルや、ファーストモデルの復刻版などがリリースされております。

また、2020年12月には『栄光のル・マン』の撮影に使われたモナコが、フィリップスのオークションに出品されました。映画の撮影後、現場でメカニックや安全管理を担当していたハイグ・アルトニアンにマックィーンが贈ったモナコ(撮影に使われた6本中の1本)の落札価格は、なんと220万8000ドル(約2億2945万円)!これはホイヤーの落札価格として過去最高額となるそうです。

マックィーンとロレックス


続いて、高層ビルの火災事故を描いた、1974年公開のパニック映画の名作、『タワーリング・インフェルノ』では、マックィーン演じる消防隊長が、劇中でロレックス サブマリーナー Ref.5512を着用しています。

火災現場というエクストリームな環境で放水にも耐えうる時計として、堅牢性と防水性を兼ね備えた世界初のダイバーズウォッチであり、サブマリーナーとして初のリューズガードを備えたRef.5512は、非常にリアリティある選択と言えるでしょう。

サブマリーナー Ref.5512は、プライベートや他作品の撮影中のオフショットなどでもマックィーンが着用している写真が多く残されており、特にお気に入りの一本であったことが伺われます。

*出典元:https://www.jaztime.com/blog/steve-mcqueen-rolex/

他にも、エクスプローラーIIのRef.1655は「スティーブ・マックィーン」の愛称で呼ばれることがありますが、これはマックィーンがエクスプローラーIIの広告に起用されたことが由来となっているようです。

サブマリーナーもエクスプローラーIIも、いずれも過酷な環境をものともしない、屈強な男らしさを感じさせる時計であり、それがマックィーンの男くささや、演じる役のリアリティを一層際立たせてくれているように思えます。

これは、同じ匂いを放つ「人」と「時計」が、お互いの存在感を高め合い、輝かせる好例と言えるのではないでしょうか。

まとめ

没後40年が経ちますが、時計の世界においてマックィーンの人気は衰えを知りません。
いつの時代にも、彼が着けたものと同じモデルのモナコやサブマリーナーを求めるお客様がいらっしゃいます。それは何故か?マックィーンの映画を見た男は皆、マックィーンに憧れ、マックィーンになりたくなってしまうからです。

時計選びというと、ファッション性や資産性の話になりがちですが、「憧れの人になる(近づく)ための時計」という視点で選んでみると、それまでとは全く異なる「運命の一本」に巡り合えるかもしれません。

そんな時計の愉しみ方はいかがでしょうか。

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